本年もありがとうございました
2009.12.31 Thursday
本年も多くの方々の支えにより、シニアヨガ、リストラティブヨガ、ヨガセラピーの普及に取り組むことができました。本当にありがとうございます。
2010年はいよいよ出産をひかえ、何かとご不便ご迷惑をおかけすることと思いますが、どうかよろしくお願い申し上げます。
今年の最後のコラムですが、ある機内誌で読んだ日本を代表するカー・デザイナー「奥山清行氏」(著書「フェラーリと鉄瓶」)の言葉を引用させていただきたく思います。
これからは「モノ作りからコト作りへ」
私たちが子供の頃、ウォークマンを手にしたときの感動は、単なる新製品を手にした感動とは明らかに異なるものでした。外出しながら音楽を聴く、という「行為」ができるようになった時代の到来に興奮を覚えたものです。
21世紀はまだ、モノが溢れ、どうやってそぎ落としていくか、どうやって心の静寂、平穏を手にするかに頭を悩ませる贅沢な時代です。これからは「モノ」ではなくどうやって「それぞれの人生がいつか出会うであろう魅力的なイベント」を作っていくかがビジネスの視点になっていくでしょう、というお話でした。
ヨガも「ヨガ」という名前のついた一人歩きのイメージだけではなく、「ヨガによって体調が良くなった」「ヨガを始めてよく眠れるようになった」「人間関係が楽になった」「今まで何をやっても晴れなかった気分が晴れてきた」「辛い闘病や介護生活の風通しがふっと良くなり、高いお金を払わずともQOL(Quality of Life」が向上した」など、一人一人の人生に寄り添うことで「自分の人生にヨガがやってきたことで、なんだか毎日の生活が変わった。よかった!」という「感動の出来事」になってくれると良いなと思います。
大衆化の力
ウォークマンのすごさは、その感動を製品の大衆化によって多くの人々が共有できた「時代のイベント作り」にあったように思います。ヨガがホリスティック医療として頼りにされるようになるには、ヨガが愛好家の間だけの特殊な操体法である時代を超えていく必要があります。
先進国ではもはやヨガの医療的活用に多額の予算があてられ、高齢者や精神疾患を、更年期障害等の症状に苦しむ人々の臨床ケアやリハビリとして、実用化が進んでいます。
ヨガが「病気」ではなく、「人」を直接癒す薬であるということ、私たちの人生は臓器や骨、筋肉だけでできているわけではないということ、世の中には万能薬は存在しないがヨガはこれまで西洋医学が癒せなかった自律神経系を穏やかに回復させ得る、というメッセージをいかに多くの方々に受け入れてもらえるような優しい説得力を以て伝えられるかに尽きるのではないかと思います。
ヨガが好きだからこそ、皆にもわかる言葉で
そのために、ヨガという産業に携わる私たちができることは、ヨガを特殊な言葉で語りすぎず(つまり普通の市民が普通の暮らしの中で語り、受け入れられる言葉や温度・・・熱すぎたり抽象的すぎたりしない言葉で)科学的検証という点ではヨガは西洋医学には劣るという謙虚さを忘れず、一方で一人一人の人生に寄り添うアプローチであるという点で「治癒」の本質をついているという誇りを胸に、ヨガによって変わり得る人生への希望を伝えていくことではないかと思います。
その第一歩となるのが「Yoga as Medicine 日本語版」の刊行となりますが、膨れあがる医療費、介護の負担を軽減する解決策の一つの選択肢として「副作用のない薬であるヨガ」に寄せられる期待に応えられるよう、できるだけ読みやすい文体での刊行を目指したいと思います。
いつも読みにくい文章におつきあいいただきありがとうございます。
来年も、どうかよろしくお願い申し上げます。