膠原病の患者さん:毎日のヨガで何かが変わり始めています

ヨガセラピーの個人セッションを受けて下さった生徒さんからいただいたメッセージをご紹介します。

 (翌日) 
昨日早速帰りに米を買って、お腹に乗せて寝てました。 今日は会社のトイレの個室で、犬のポーズやってましたよ☆ 毎日少しずつ続けてみます。 

 (数日後) 
先週注文したボルスターが今日届きました。 やっぱりこれは気持ちがいいですね。 あれから毎日少しずつヨガを続けています。 姿勢が正されたからか?逆流性食道炎による胸焼けが改善されました。 

あと、この歳でお恥ずかしい話ですが、過活動膀胱もあって薬を飲まないと30分ペースでトイレに行くほどでした。 それが今は薬飲まなくても大丈夫になりました。 私の場合、やはり自律神経の乱れが様々な症状を起こしていたのだと実感しました。 呼吸法で気持ちを静めるようにしてからは、これらの症状が改善されてかなり楽になりました。 始めて本当によかったと思います。

(さらに数日後) 
過活動膀胱は自律神経の影響もありますが、腹筋や腰周りの筋肉の衰えでも起こるみたいです。 病気で運動を制限されているとどうしても筋力が落ちてしまうので、ヨガで改善できる方法があったらいいなと思います。 あと、ご相談というか。 前回指導して頂いたスクワットで、ちょっと膝が痛いなと思っていたら内出血していました。 膝全体に広がってしまったので今は中止していますが、やり方が悪かったのか、自分に合っていなかったのか。 足の筋力が弱くてすぐに転んでしまうので何とかして鍛えたいとは思うのですが、なかなかうまくいかないですね。 何かよい方法があったらご指導お願いします。 (痛みが取れるまではしばらく膝はお休みさせておきます。) 

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 本コラムでご紹介した生徒さんにプログラムしたメニューを一例でご紹介したいのですが、それが他の膠原病の患者さんが始めて無理のないものではないと言い切れません。 別のコラムで、おそらく無理がないだろうというもののみをピックアップしてご紹介したいと思います。 本コラムでお伝えしたいのは、このヨガをやって下さい、ということではなく、ヨガを始めてみることによって変わる世界があるかもしれない、という希望についてになります。
2011.02.01 Tuesday 16:01 | 膠原病とヨガ | - | -

膠原病の方の不定愁訴を楽に:ヨガセラピー

救いを求めるのは身体のことだけではなく、心の問題、家族の問題が多いのです。

私の生徒さんがおっしゃっていました。「難病の場合、家族のケアも必要を感じています。病気になったのは親のせいでもなく、そして自分のせいでもないのに、親がいつもいつも自分に謝ってくるのが辛い。辛いのは、誰のせいにもできないことです。」

ヨガで学ぶのは人生の二律背反(アンビバレント)。世の中の矛盾。葛藤。そして、悪いこともあるけどいいこともある、いいこともあるけど悪いこともある。人生は ビター & スイートなんだってこと。それでもきれいごとでは心が納得できないこともあるけど、ヨガの語源は「Yuj」(つなぐ)なんです。世の中の矛盾も葛藤も、いいことも悪いことも、両極端な事実をも受け入れながら、手を差し伸べてくれる人たちと手をつないでいくことを考える。

そういう冷静な気持ちになるためには心がそわそわしていたり、極限まで落ち込んでいたりすると難しいことが多いわけです。ですからヨガでは身体に優しく、まず精神の安定とリラックスをはかるのです。その方法は、激しいパワーヨガのようなやり方もありますが、必ずしもそうする必要はなく、ごく軽く身体を動かしてから、楽な方法で身体を休めればいいのです。
心と身体を休める時間をとることは、自律神経の調整にも役立ちます。
むしろ、そういう時間は病院での治療には含まれていません。ならばヨガで確保しましょう!

特に膠原病の方々は、激しい運動を禁止されているのと、ちょっとぶつけるだけで内出血を起こしてしまいます。しかし、ヨガでやる四つんばいのポーズや犬のポーズなどもアレンジをして簡略化した方法で行うことができるのです。
2011.02.01 Tuesday 14:59 | 膠原病とヨガ | - | -

現代の難病「膠原病」の症状の緩和に向けたヨガ

できるところを探していく:今日できるところ(Just for Today) というヨガの考え方

難病といわれる病気と共に生きる方々は、ともすれば「お医者様だけが頼り」という心境になってしまうのだそうです。長く患っている方々は特に、お医者さんに言われたことを守ってしまう行動パターンが身についてしまっているのだそうです(*)。

そんな中、私のところでヨガを学んで下さった生徒さんはとても素敵なお医者様とのご縁があったおかげで、ヨガをやってみようかな、という気になれたとのことでした。その先生は「自分ができそうだと思うことはやってみなさい。そして具合が悪くなったら、受診しにきなさい。そのために私たちがいるのだから」と言って下さったとのことです。

ヨガでは人と比べない、無理をしない、評価しない、ということが大切とされます。比べない、というのは、今日の自分と昨日の自分も比べないことを意味します。今日の私でできそうなのはこれぐらい、、というところを探れるようになるのもヨガの練習の大切なひとつです。

そして、病気に邪魔されながら人生を実現しようと頑張っている人々を支えるのが医療の役割だとしたら、お医者様のできることは多大、そしてそれでも、いくばくかでもヨガができること、もあるのではと思うのです。

ストレスの緩和剤は処方してもらえない

膠原病につきまとうのが日常生活におけるストレスなのだそうです。それでも「ストレス緩和剤」「ストレス回避薬」は病院では処方してもらえません。膠原病自体が、何をしたから悪くなるというのではありません。検査結果が一人歩きしたり、病気が勝手に活発になったりするのだそうです。用心しすぎることがかえってストレスになることもあります。
ですから、毎日毎日をいかに生きていくか、に尽きるのだそうです。

実際、ヨガを始めてから体調が良くなりストレスが減った、という方が増えているのは事実であり、喜ばしいことです。 しかし、ヨガで病気の根本を治癒することは残念ながらできません。むしろ、ヨガを始めた方々に変化があるとすれば、これまで藁にもすがる想いでいろいろな治療法を探したり試したりしていたところから「人生に万能薬など存在しない」ということに気づくことかと思います。日々の出会いに感謝し、変わり続ける今という瞬間を大切に過ごしていこうという意欲こそが毎日を元気に暮らして行くための処方箋です。 そのためのヨガという軽い運動であり、深くゆっくりとした呼吸の智慧であり、そのためのリラックスなのです。

ヨガを通じてつながりたいという気持ち

私の生徒さんは「難病を抱えている人が求めているのは、もちろん病気を治して下さい、症状を楽にして下さいということもあります。でも、その病気が一生背負っていかなくてはならない病気であったとしたら、病気と共に生きる勇気をもって生きていけるような安心感をどこかに得たい、という気持ちもあります。あるいは、同じ病気を抱える人たちと励まし合って生きていきたい、という気持ちもあります。」とおっしゃっていました。
したくないのは、同じ病気を抱える人たちと、自分がどんなに辛いかを語り合いながらせっかく生まれて時間を過ごしていくことなのだそうです。

ヨガを始めた私の生徒さんは「自分だからわかる同じ病気の人の辛さ、そして目の前がぱっと明るくなった時の気持ちなどを共有し、励ませる人のことは励ましていけたら」という気持ちがあるとおっしゃっていました。

病気のこと以外でも、たとえば就職のことや仕事のことで患者さんが集まり話ができれば、そこからブレインストーミングが始まり、あんなものもある、こんなものもあるといっぱい出してもらい、しばらくするとこういう風にしましたと自分で決めていくひともいるんじゃないかとのことでした。人間の命は骨や筋肉、内臓だけでできているわけではない、もっと複雑系で調和がとれたものです。病気以外の生活でも支え合うことによって、生活全体の室があがっていくのだと思います。

(*本コラムでは、お医者さんの言うことを無視し無理をお勧めしているわけではありません)


彼女に連絡をとってみたいという方は、メディカルヨガのウェブサイトからご連絡をいただければと思います。
2011.02.01 Tuesday 14:45 | 膠原病とヨガ | - | -

メディカルヨガ 番外編

難病の方でも始められるのがヨガのいいところです。

今年は個人講習の生徒さんの了解を得て、不定愁訴の緩和を目指したヨガのプログラムをご紹介していけたらと思います。 

ヨガで病気は治せない:それでも幸せになれる

最も危惧しているのは、ヨガで病気を治せるという間違った認識として伝わってしまうことです。 ヨガで病気は治せません。でも、夜にぐっすり眠れるようになったり、食事を美味しくしたり、薬の量を減らしたり、辛い治療に頑張って取り組んでみようという意志を高めたりすることはできるかもしれません。 病気を抱えるというストレスで溜め込んでいたものを発散することができるかもしれません。 

一般化できないという大前提:一人一人が遠慮なくできるように

 セラピーとしてのヨガはそもそも「一般化」できないものなのです。 大部屋で私が講師をしながら、このポーズをやって下さいと言っても、ある患者さんは「私にはそれは実はきついのだけれど・・・」と感じているかもしれません。しかも、遠慮してそれを言えないのです。 あるいは、軽い運動をしたいからといってヨガを考えてはみたけど、思うように身体を動かせない自分のことを先生が気遣い、クラス全体に迷惑をかけてしまうのは後ろめたい、と思っているかもしれません。 

軽い運動自体がはらむ難しさ

そもそも、軽い運動という考え方自体が、とても難しいものなのです。 どこまでが軽い運動なのかは人によって異なるからです。たとえば、私の主人は軽い運動だからと、職場まで30分自転車をこぎますが、それは私にとっては結構なチャレンジです。 妊婦さんのためのヨガも、高齢者のためのヨガ(シニアヨガ、シルバーヨガ)もそうですが、「軽い運動を」と勧められる方々は、実際不安で一杯なのです。どこまでが軽い運動なのか自分では判定できないと思っているからです。 

ですから、セラピーとしてのヨガを提供するにあたっては、一人一人生徒さんに様子をたずねながら、「これぐらいならできそうですか?」「毎日続けなくていいですよ。」「ちょっときついと感じるポーズがあったら、どうか率直に教えて下さいね」というようなことを確認していく必要があります。そしてそれは、病院の問診ではないため、生徒さんが自分に心を開いてくれていない限り、その方が本当に辛くないところを聞き出すのは難しいのです。
なので本当は一番身近な方がヨガを教えてあげられるのが本当は理想的です。

ヨガセラピストの練習はポーズよりも身近な人との関係改善

ヨガセラピストとして大切なことは、ヨガのポーズが上手にできることではありません。むしろ、相手が何を期待しているかに耳を傾け、ヨガができることとできないことを相手の方がわかる言葉で伝え、その上で一緒になってその方の人生のQOLが高まるような運動療法や呼吸法を考えてあげられる人だと思います。
ですから、ヨガの勉強を猛烈にして資格を目指すことではなく、まずは自分の一番大切な人、ご両親かもしれませんし、伴侶の方かもしれません、お子様かもしれません、にその方が生きる希望を持てるようなヨガのポーズを一緒にやってみましょう、と側にいて心を支えてあげることだと思います。そして、きっと一緒にヨガをすることで、実は教えられる側だけでなく、教える方の心と身体も軽い運動によって解放される機会になるのです。実は、ヨガを教えることはスポーツジムで汗を流すより心と身体に健康的と言えるかもしれません。

もうひとつのメディカルヨガ第二回は「膠原病の方でも無理なくできる軽いメニュー」についてご紹介します。
2011.02.01 Tuesday 13:49 | 膠原病とヨガ | - | -