ヨガは全ての人のために

アメリカの代替医療においてディーン・オーニッシュ医師が果たした業績、それはヨガが心臓病に良い影響を与え得るという研究を世に知らしめ、ストレスを軽減する有効な治療法のひとつとして確立させたことでした。彼はまたクリントン大統領の心臓コンサルタントを務め、補完代替医療が未来では選択肢のひとつになる予感を国民に確信させました。

オーニッシュ医師と共にヨガプログラムの普及に努めてきたジャー二・チャップマン看護師のもと、がんと重篤疾患の方向けのヨガを学んできました。このたびNYにてインターンの機会に恵まれました。学ぶ内容は楽しいものから重いものまであります。先生はとても厳しく、わかりやすく、とても優しいです。

アメリカで学んだことを日本で必要とされるように運び、日本人にとってより良い環境を構築していくこと。重い内容ですら伝え方を考え、希望を届ける仕事にしていくことだと思っています。

私が信じているのは、素直に学ぶ姿勢から入れば、日本人はもっといいものを作れる、歴史的にも作ってきた、ということです。 学びに専念できたのは、同行してくださった恵美さん、裕子さん(愛誠病院メディカルヨガプロジェクトティーチャー)が私の子供たちを守り、美味しい食事と笑顔で待っていてくれたからです。本当にありがとうございます。
今日は、一同でヨガの臨床研究の発表の場であるヨガリサーチシンポジウム(SYR) に移動します。

Jnani先生のワークショップに興味のある方はこちらをご覧ください。
http://www.yogaville.org/…/yoga-therapy-in-cancer-and-chro…/
2015.09.28 Monday 19:13 | 統合医療にかける期待 | comments(0) | trackbacks(0)

統合医療:2011年はどうなるか

(およそ一年前の毎日新聞より引用)

民主党・新緑風会・国民新・日本の山根隆治議員が、28日(2010年1月)午前の参院予算委員会で補正予算に関する総括質疑に立ち、統合医療について質した。  山根議員は鳩山由紀夫総理大臣(代表)に統合医療にかける見解を問うたところ、鳩山総理は、「今までややもすれば、日本の医療は病気になったときの西洋医療中心であったが、病気にならない常に健康を維持していくための東洋的な医療、統合医療をこの内閣のリードするものとして、政府としても真剣に検討をして、それを克服して推進していきたい」と統合医療推進に向けての決意を語った。  山根議員は統合医療の厚生労働省内の窓口の一本化や科学的な根拠や安全性などを確保する研究推進、伝統医療の国際標準化についての問題点について長妻昭厚生労働大臣に質した。  長妻大臣は、厚生労働省内で統合医療に関する部署が4つあることを述べ、「今後、省内にプロジェクトチームをつくり、窓口を一本化していく」とした。そのうえで、色々な広がりを持っている統合医療の推進のため、「厚生労働省としても平成22年度の予算で、研究分野についてこれまで以上の10億円以上の予算を計上し、その効果を含めた研究を取り組んでいきたい」と答えた。  また、伝統医療の国際標準化については「世界の国々、欧米諸国で統合医療を利用していただくには、何よりも科学的な証拠・根拠に基づく研究・検証が不可欠。まずは、そこに力を入れてやっていく」とし、「中国と協調できるところは協調して、この分野を伸ばしていくという方策がないか議論の余地がある」とした。
2011.02.01 Tuesday 13:46 | 統合医療にかける期待 | - | -

ヨガセラピーが補完医療として役立つために

アメリカで参加するシンポジウムに向け、先日のブログでもご紹介した「代替医療のトリック」 を読んでいます。アメリカではCAM(コンプリメンタリー アンド オルタナティブ メディスン)- 補完代替医療としての期待が高いヨガですが、そしてそのためにどんな努力が行われているかを学んでこようと思っていますが、予備知識として、また客観的な問題提起としてこの本はとても役に立ちました。

ヨガを今後、補完代替医療として捉えていく上で考慮しなくてはならないと感じた点について本書からとりあげてみました。(抜粋はあくまで個人的テーマに基づいており、>>以下が私自身の見解となります)

抜粋ここから:::::::

類似のケース全般についてあらかじめ有効性が保証されていない限り、よりよい治療法、すなわち成功率の高い治療法を用いることはできない。統計の助けがなければ、真に効果のある治療はできない。〜中略〜試験を行わずに済ませようとすれば、医療はいつまでたっても、効果がなかったり、危険だったりする未検証の治療法の寄せ集めにとどまらざるを得ない。
>> ヨガを未検証の危険な治療法の寄せ集めにしないためにはどうしたらいいのでしょうか。そしてそのためにどういう取組みが実際にIAYTの研究の場でなされているかを学んできたいと思います。

興味深いことにプラセボ効果がとくに起こりやすいのは、痛み、晴れ、熱、昏睡、食欲不信といった症状に対してなのだ。おそらくプラセボ効果は、より基礎的なレベルで私たちの体にそなわる急性期反応(怪我をしたときに起こる緊急防御反応)を、「この治療をすれば回復できる」と期待することで押さえ込むために、生まれながらにして持つ能力なのだろう
>> ヨガの効能も大半がプラセボ効果なのか。おっくうだった体を動かすと気分が良くなる、などの心理的好転作用もプラセボ効果と呼ぶのでしょうか。ヨガは確かに症状そのものの治療はできないかもしれません。しかし、医療とは「治療」だけではなく「病気を抱えて生きる態度を前向きにさせるという意味での「癒し」あるいは「予防」も指すのではないでしょうか。ヨガは病気の治癒はできませんが、適度な運動習慣を身につけさせることで健康増進には役立つと考えます。

(科学的方法と臨床試験の大切さを説いた)コクランは「瀕死の状態で泣き叫んでいた」兵士を治療するという絶望的な立場に立たされた。彼にできたのはアスピリンを与えることぐらいだった。彼はこう回想している。「とうとう私はたまらなくなってベッドに腰を下ろすと、両腕でその男を抱きしめた。そのとたん、叫び声がぴたりと病んだ。それから数時間ほどして、彼は私の腕の中で静かに息を引き取った。彼が泣き叫んでいたのは胸膜炎のせいではなく、孤独の性だったのだ。私はこのとき、死にゆく人の看護について、かけがえのない勉強をさせてもらった
>> シニアヨガの指導者養成でもいつもお伝えしていますが、高齢者を老化させるのは筋肉や内臓などの機能低下だけではありません。孤独が高齢者の心身の機能を低下させるのです。ヨガを始めることで、人生捨てたもんじゃない、と思えるようになれば、きっと薬より高齢者のQOL(Quality of Life ) には貢献できます。

逸話をどれほどたくさん集めても、しっかりした科学的根拠にはならない。科学者がよく言うように、「逸話の複数形はデータではない」のだ。
>> これはヨガに携わる私たちが胸にとどめなくてはいけないことだと思います。ヨガは医療に値する、と声高に叫ぶだけでは、説得力はないのです。Yoga as Medicineのティモシー先生も言っていますが、YogaをCAMとして論じることは、ヨガが科学になりうるか、という問い自体への挑戦なのです。一人一人の人生が抱えるものが異なるように、ヨガは一人一人にとって薬とは比べ物にならないくらい様々な形で作用します。それを、データを取って比べたところで意味をなすのか、という疑問と、多くの人の健康に貢献するため、それなりの信憑性を付与する努力を放棄してはならないという課題の狭間で、IAYTは取り組んでいるのです。私たちも、いくらヨガの素晴らしさを逸話として語り続けても、ヨガは特別な人がやるもの、と思われるだけの繰り返しになってしまうかもしれません。本当はもっと、ヨガによって何かを変えられるきっかけを得られる人、健康を増進できる人がいるかもしれないのに、と思います。

代替医療の治療法が医療として認められ用として苦戦を強いられているが、その理由の一つは、治療法の基礎となる考え方が、今日の解剖学、生理学、病理学を始めとする科学的知識とは相容れないからだ。存在してもいない経絡に鍼を打って耳が聞こえるようになるものだろうか?有効成分を含まない超高度希釈のホメオパシー・レメディを飲んで、花粉症が治るだろうか?脊椎をマニピュレート(操作)して喘息が軽快するだろうか?
>> ヨガが健康に寄与するとすれば、日常深い呼吸を心がけたり、体調を悪化させる筋肉の疲労や骨の配置を予防したり改善したりする長期的な努力をさせることになるからだと思います。ヨガはインドの先人たちが「人間には、長い間生活していると、体が疲れてくるとき、心が疲れてくるとき、こういう傾向があるから、それを予防するような逆刺激の動作を与えればいい。」という分析の上、考案され語り継がれてきたものです。その一つが深い呼吸であり、その一つが私たちの日常生活からみると奇妙に思える体の動かし方〜ポーズだったりするのです。たとえば、人は状況が悪くなると呼吸が浅く、速くなります。たとえば、私たちは疲れてきたり、考え方が悪い方に向かうと猫背になります(猫背になると悲観的になったりします)。ヨガの難しさは、そこに「チャクラ」とか「アパナ」「プラナ」など、実在はしない空想上の概念を持ち込み、科学的には証明できないにもかかわらず、ヨガの概念をひっくるめて科学的に説明しようとしているところだと考えます。理解する方にとっても難しいことですが、身体心理学的側面と、伝承的側面に分けて説明することで、この種の混乱を少しは回避できると思います。

代替医療であるハーブ療法のセラピストは、母なる自然は何が最善かを知っており、植物を全体として使うことこそ理想的な薬のあり方だと今も信じているのに対し、科学者は、自然は出発点にすぎず、よく効く薬を手に入れるためには、植物に含まれる成分のうち、治療に役立つものを知らなければならない(そしてときにはそれを操作しなくてはならない)と考えるのである。
>>私の個人ブログのタイトルも「ちょい不良でもちゃんとヨガ」 と名付けてますが、母なる自然にすべて従い生きるのは現代人として難しさを感じています。もちろん、自然は大いなる母ですが、私たちが実際に生きているこの現実こそが、私たちの舞台であり、辛くても矛盾を感じてもそこで生きていかなくては行けません。その現実から逃げて世捨て人になることは、例えて言えば父に背いて生きることでしょうか。私たちには父も母も大切です。できるだけ自然のものを食べたいと思いますが、やはり急いでいる時はカロリーメイトは便利です。汚染された水は飲みたくありませんが、私たちが清潔な水を飲めるのは、やはり文明の恩恵です。大自然もいいですが、都会に住みながらそれを見に行けるのは飛行機があるからです。今の暮らしに役立っているものは、人間がつくってきたものとはいえ、生き延びるために人間が積み重ねてきた智慧の集大成であり、それを頭ごなしに否定することは今という世に命を授かった私たちが先人たちの命の系譜に感謝の気持ちを忘れていることにならないでしょうか。

患者は代替医療の有効性と安全性の両方を知っておく必要がある。そしておそらく安全性は、有効性よりもいっそう重要な問題だろう。
ヒポクラテスの著作より:「病気については、二つのことを習いとせよ。有益なことをするか、あるいは少なくとも害をなさないこと」
現代医学はヒポクラテスのこの言葉を、危険性と受益性を天秤にかけなければならないという教えと解釈している。なぜなら今日では、ほとんど全ての医療介入に、副作用のリスクがあることが解明しているからだ。したがって、何か治療を始める前に、受益性が危険性より大きくなりそうか、両者の比率はどれくらいか、副作用はどの程度になるかについて、あらかじめ医師と患者が理解を共有しておく必要がある。
>> 私がヨガを学んだヨガフィット(アメリカ:ロサンゼルス)において、指導者養成のカリキュラムで一番大切にしていたのがこの「安全性」でした。ヨガの指導者育成での私の考え方の大きな柱になっています。具体的には、ヨガを安全に行うために留意すべきポイントをしっかり学びます。ヨガは副作用のない安全な薬とよく言われますが、どんな薬でも使い方を間違えば毒になります。ヨガをする人の今日の体の状態、心の状態に無理のない取組みをしなければ楽しむことはできません。セラピーであればなおさら、治療としての効果を期待することは不可能であるばかりか、健康上悪影響を与える場合すらあるのです。ヨガをセラピーとして用いようとする場合、その人にとってAt Risk にあるのは何なのか。同じ人にとっても昨日と今日は違うということ。違っていいこと。もちろんその人と、もう一人の人は違うということ。得られるであろう健康上の効果を上回るリスクがあるようなヨガをしては行けないということを、教える側がきちんと分析できなければならず、それがヨガセラピーの学びだと思っています。たとえば、妊婦さんでは何がリスクなのか。高齢者では何がリスクであり、どんな困難を抱えているのか。精神的ストレスを抱えている人に逆効果になるような、あるいは強すぎるポーズや呼吸法はどんなものなのか。など、そういうことをむしろ現代医学より一人一人の状態にきめ細かく配慮できてこそ、ヨガはセラピーになりうるのであり(たとえそれがグループのクラスであっても)、大部屋に人を集めて先生を真似したポーズをとらせ、それらしい呼吸のテクニックを行い、さあヨガで元気になりましたか、といったとしてもそれは現代医学の真似をした副作用を伴う危険な医療介入と何ら変わりがなくなってしまう〜危険であると思っています。そういうクラスではなく、ということをワークショップで伝えたいと思いながら、高齢者の健康増進や乳がんなどに役立つヨガセラピーの指導者養成を行っています。

アーユルベーダのハーブ薬も重金属に汚染されていることが多い。2003年にボストンの医学研究者たちが地元の店を片端からまわって70種類のアーユルベーダのハーブ薬を購入した。すると、10にひとつは、標準的な安全基準を上回るヒ素や水銀、鉛を含んでいた。また、(アーユルベーダに限らず)期待される効果を出すために通常医療の薬がわざと混入されているあることもある。
>> ヨガはこの点においては、安全です。健康博覧会の会場に行って驚いたのは、「日本の健康とは黒酢と青汁のことなのか!」ということでした。経口による健康ももちろんありますが、人はとるだけでなく、出すことも大切です。循環しているから生きているのです。運動は出すために、役立ちます。美味しく食べるためにも役立ちます。健康を議論するとき、もっと運動の実践(やればいいのはみなわかっているのです。でも、始められない、続かないのです。)ということを考えていきたいものです。どうしても現代人、とることにばかり気がとられがちですが、1とったら、2出すことを考えられるようになれば健康に暮らせるのではと思います。もちろん、このテーマは口に入れるものを選ぶ大切さについても考えさせられます。私事ですが、子供が産まれたのでなおさらそれを感じます。

ハーブ薬の最大の危険性は、効果のある通常医療の薬をやめて、ハーブ薬に切り替えることだろう。もしも効果のないハーブ薬が、効果のある通常医療の薬の代わりに用いられれば、患者の状態はほぼ間違いなく悪化する。
>> 乳がんのリハビリにヨガが使われているのは、ヨガによって辛い化学療法に取り組むやる気が出た、などという側面があります。乳がんに限らず、セラピーとしてのヨガでは(少なくとも私が学ぶヨガセラピーでは)ヨガは従来の医療を否定するものではなく、あくまでその治療との相乗効果を念頭においてとりいれられるべきものだ、という考え方をします。ですので、その方の症状を改善できると思われる治療法を否定せず、むしろ副作用の辛さからそれを拒否する患者さんたちの副作用を緩和し、治療に前向きになれるよう手助けができることを目的とします。私自身、ヨガは「代替医療」よりむしろ「補完医療」として位置づけられる方がしっくりくる気がします。これまでの医療にとって代わるのではなく、相乗効果を期待できるような存在になること。そして、他の医療や他の療法を否定しないこと。自分がNo.1でなくてもいいという謙虚さを持つこと。ヨガによって、他のことに取り組む元気が出れば、他のことを妨げていた苦痛が取り除かれればそれでよしとすること。それこそ、補完であるからこそ、2番手、3番手でもいいのです。ヨガセラピーではヨガ自体を極めることが目的ではなく、その人の毎日を健やかで明るくすることがセラピーの目的であるはずです。主役はヨガではなく、ヨガと出会ったその人のQuality of Life であり、そこにヨガがちょっとお邪魔させてもらうだけでいいと思うのです。もしかしたら、本命になるかもしれません。もしかしたらただの通りすがりや愛のキューピッドで終わってしまうかもしれません。それでもいいんです、と清々しくと思えることが補完医療に参加できる条件なのではないかとと思います。

ヨガなどいくつかの治療法には確かに効果がありそうだが、
>>この本で、ヨガはどう検証されるんだろうとドキドキしていましたが、ヨガに対する見方はまだ完全に否定的というわけではなさそうです。ヨガが現代人の心と身体の健康に寄与できるということをより多くの人々に信じてもらえるように、私は日本人として、勉強して、考えて、伝えられることを伝えていきたいと思います。

インターネットをざっとみただけでも、変わった治療法が実に様々あり、科学的な根拠がないまま大胆なことが言われている。
>> 大胆なことが言われている、に思わず笑ってしまいましたが、その通りだと思います。いつもワークショップでお伝えしているのが「ヨガを過信しないで下さい」ということです。ヨガを通じて学べることがあるとすれば、それは世の中には万能薬は存在しない、ということではないかと思っています。私たちヨガに携わって生きる人間はどうしてもヨガを好きなあまり、ヨガの良さばかりを伝えようとしてしまいます。もちろんジャーナリストではありませんからヨガの良さ悪さを冷静に分析して伝える必要はありませんが、セラピーとしてヨガを処方する責任として、先に出てきた「効果と安全性のバランス」をきちんと整理した上で指導に当たる必要があります。それこそがセラピストとしてのヨガの学びだと思います。大胆なことを無責任に羅列し、生徒さんや患者さんをその気にさせたり煙に巻いてはいけません。(といっても、ヨガの持つ神秘的なイメージにひかれ、それがヨガを続けるきっかけになり、結果的に適度な運動や正しい呼吸の習慣が身につき、健康状態の改善に役立っているケースがあることも否定はできないのですが)

自然なものがよいとは限らず、自然でないから悪いとも言えない。「メディカル・モニター」誌の言葉を借りれば、「自然は構成で、流行病が広がる時も、健康な赤ん坊が産まれる時も、あざやかに、そして無情に仕事をこなす」
>>自然なお産、という言葉の意味を考えさせられるテーマです。

代替医療業界は、主流の科学者たちを悪者にすることで新たな患者を獲得しようとする。
>>そうあってはならないと思います。実際IAYT(国際ヨガセラピスト協会)のシンポジウムへの参加者の多くが、西洋医学のM.D.の方々(つまり主流の科学者)です。現代医学の側とヨガ界の側がお互いに謙虚に学び合ってこそ、という姿勢を大事にしようとしています。ですから、ヨガの側にいる私たちも、もちろん限界はありますが、もっと現代医学、せめて解剖学のところまではきちんと学ぶ努力をしなくてはならないと思います。

抜本的に新しいアイデアを考えついた反主流派は、その考えが正しいことを世界に向かって証明しなければならない。代替医療の開拓者のほとんどは、そこでつまずいてしまうのだ。
>> ヨガを証明するために、諦めずに頑張りたいと思います。

代替医療セラピストの中には、治療法に信憑性を与えるために科学的な言葉を使って説明するものがいるが、なるほどと思える説明でもそれが事実だとは限らない。
>> そういうまやかしをしないよう、気をつけなくてはなりません。医学、解剖学の基礎をきちんと勉強しなくてはならないと思います。

「祈りは患者のためになるかどうか」自分のために祈ってくれる人がいれば、患者は愛と希望を感じ、困難な時期を支えてもらっていると感じるだろうから、回復率の高さは心理学効果として容易に説明できる。
>> 仮に家族に祈ってもらえなくとも「祈りは祈るものの心をも変える」という言葉もあります。自分で祈ることも心理的効果があるはずであり、それが代替医療を信じる人々のプラセボ効果と呼ばれるところなのではないか。しかしその心理的効果が実際に患者さんを元気にすれば、それは「心理的効果」として治癒力があるとは認められないのだろうか。体の病は治せなくとも、少なくとも心の病という側面には効くのではないか。

ワイルは、効果のある通常医療をしばしば中傷する一方で、効果がないさまざまな代替医療を試してみて、自分に合うものを見つけようなどとアドバイスする。患者が自分の体を実験台にして結論めいたものを引き出すようアドバイスするのではなく、注意深く安全に行われた臨床試験の結果をきちんと知らせてはどうだろう。
>> 急を要する致命的な病気にはそれが必要ですが、ヨガなど、患者の「全般的な健康改善に役立つ療法」については、自分に合うものを探すために試行錯誤する猶予は残されていいのではないかと思います。

新聞、ラジオ、テレビは、どんな論争においても絶大な影響力を持つが、メディアには読者、聴取者、視聴者を引きつけたいという願望があるため、話題をセンセーショナルにしなければという圧力がかかる。
>> ヨガのよさを普通に伝えるのも難しい世の中です。まるで魔法のように伝えられたり、大胆な効能が叫ばれたり、ダイエットや美容の側面ばかりが取り上げられたり。きれいになるヨガ、悟りを開くヨガ、ももちろんありですが、心と身体が普通に楽になるヨガ、というのが広まってほしいと思います。そのためにはあまりメディアでヨガがもてはやされすぎるのも、と思う一方、ではメディアなしでどうやって人々に伝えることができるのか、という矛盾に悩むことになります。実際、ブログやインターネットでヨガのことを発信するのも、メディアを使っていることになるからです。メディアによりヨガのよさを知ってもらい、実際にやってみる人が増え、そこからヨガの評判が徐々に伝わっていき、新たに始めてみようかな、という人が増えていくのだと思います。人気大爆発の一過性ではなく、まるでヨガのように、ゆっくりだけれども長く効く薬のように普及していってほしいものです。

今日はここまでしか読めませんでした。出発までに読み終えて出かけたいと思います。

(追加12/19) 

マッサージが一部の筋骨格系の症状、特に腰痛や、不安、憂鬱、便秘に有効であることについては科学的な根拠が得られている。局所的な血流を増やし、脳のエンドルフィんを放出することによって効果が得られるのかもしれない。有害な影響が出ることはまずない。

瞑想の「リラックス反応」はストレス軽減のための治療としても用いられ、ストレスが軽減されれば、血圧を下げたり痛みを抑制したりするなど、健康上の効果がある。瞑想状態にある時は、様々な生理学的機能が変化する。たとえば、呼吸や心拍は遅くなり、脳の活動レベルも低くなる。ある種の瞑想(たとえば超越瞑想)には宗教的意味合いが大きく、より大きな信念体型や、実践体型の一部分を構成していることもあり、それに患者が抵抗を感じることもあるかもしれない。「マインドフルネス・メディテーション」は純粋に治療目的で発展した方法であり、宗教にかかわる問題は起こらない。
瞑想によって精神疾患が悪化する場合もあるらしく、そうした問題をもつ患者は瞑想を行ってはならない。

リラクセーション・セラピーは「リラックス反応」として知られるものを引き起こすことそれ自体を目的とする治療法だ。リラックス反応とは、心身を緊張緩和させるような自律神経系の反応パターンのことである。リラックス反応が起こると、脳の活動レベルが低下したり、心拍、血圧、筋肉の緊張など生理学的パラメータが変化したりする。
この療法を高く評価する人は多く、とくに、患者の健康を患者自身に管理させようとする点が評価されている。

多くの人が-治療を施す側も、治療を受ける側も含めて-代替医療に心ひかれるのには、それ以外にも理由がありそうだ。
ひとつには、主流の医療に対する不満があることだ。「冷たい主流の医療」に対して「温かい代替医療」といったイメージを抱く人は少なくないだろう。
医者が一人ひとりの患者に対して十分な精神的ケアを行うことはきわめて難しいと言わなければならない。一方、かかった時間に応じて費用を請求することも可能な代替医療ならば、施術者と患者がとが満足度の高い人間関係を結ぶ余裕もある。あ

プラセボ高価にのみ頼った医療を容認することは、医療全体を暗黒時代に引き戻すことだという点

「ナチュラル」「トラディショナル」「ホリスティック」これらはまさしく科学的医療のイメージの裏返しだ。(自然はそれほど人間に都合良くはできていない)これらのキーワードには私たちの思考を停止させる強力な魅力があるらしい。




出発まであと2日。お腹の上にすやすや眠る航一を乗せながら読んでいます。
2010.09.28 Tuesday 08:54 | 統合医療にかける期待 | - | -

がん治療に統合医療が果たす役割が広がってきています

8/29 NHK教育 TVシンポジウム「漢方と西洋医学の新たな融合〜がん治療に漢方が果たす役割〜」
(番組紹介より)
「手術療法」「抗がん剤」など、西洋医学の進歩により「がん」の治療成績は向上してきているが、治療に伴って起こる「副作用」などの症状が問題となることもある。そんななか医療現場では、がんによる症状や、治療による副作用を「漢方薬」によって、軽減しようという取り組みが進められている。第一線の医師が集まって行われたシンポジウムのもようを通し「がん治療における漢方薬の効果や意義」について、詳しく紹介する。

をみました。がんにおける問題はがんそのものだけではなく周辺の症状であることが認識され始めており、そのために統合的な治療を手がける医療機関が増えてきています。周辺症状は多種多様であるゆえ、それぞれ個別の治療が難しいものばかりです。実際出演されていた西洋医学の権威の先生たちも、特定の症状に対しては「西洋医学でもこれと言った治療法がなくあきらめざるを得なかった」と述べていました。その中でも深刻なのが、気力、体力の低下が体脂肪、筋肉量の低下をもたらす「悪液質」、自律神経の失調、鬱状態による最先端治療持続の断念などですが、漢方によりこれらの症状を補うことで、有効な治療の継続や、治療効果の増幅などが狙えることが紹介されていました。
何より驚いたのは、視聴者の方々の学習意欲の高さでした。非常に専門的な内容でありながら、皆さん真剣にメモを取って聞き入られていました。信頼性の高い情報をわかりやすく提供することで、意識の高い国民を啓蒙していく流れができている漢方をうらやましく思いました。北米ではヨガもそのような流れを生み出すべく、医療現場や大学、研究機関で信頼性のあるデータをもとに研究や発表が繰り広げられています。日本でもそう遠くない日に、ヨガがQOLの維持、向上に著しい効果があることを、説得力を以て紹介できる環境が整うことを願いつつ、この分野に関心が高い仲間の輪を広げていきたいと考えています。


2010.08.31 Tuesday 21:16 | 統合医療にかける期待 | - | -

メディカルヨガの臨床応用研究について

ヨガを統合医療の場で実用化していくためには、その科学的検証、つまりヨガが迷信だけの、あるいは胡散臭い民間療法なのではないかという先入観を乗り越えられるだけの Evidenced Based Medicine ( エビデンスドベースドメディシン)であることへの理解を取り付けていかなくてはなりません。

ヨガの動き、呼吸は次のような経路でこれまで薬では治せなかった諸症状の緩和に効果があると期待されています。

(1) 大脳 → 感情、情動を安定させ、不安、うつ、イライラなどの感情のコントロールに効果
(2) 視床下部 → (a) 免疫系の調整することで、感染病の病気予防 (b) 自律神経の調子を整えることにより → ほてり、のぼせ、発汗、自律神経失調などの諸症状の緩和
(3) 下垂体 → ホルモンバランスを整えることで、更年期、PMS、不妊症、EDなどの症状全体の緩和

アメリカではヨガセラピーの専門家たちにより、この点での努力が着々と進められています。秋に日本語版としても刊行予定の「Yoga as Medicine」も米国ではヨガセラピーの教科書として、その一端を担っています。

今日、著者である Thimothy McCall (ティモシー)先生よりお便りをいただき、先生も久しぶりに風邪をひかれたものの、この分野での研究発表に力を入れ続けているとのことでした。私も育児のかたわらあまりまとまった時間が取れずにいますが、9月からのワークショップ再開に向け、できるだけ役に立つ内容をわかりやすくお伝えできるよう、学びに戻りつつあります。また、皆様との学びの場を通じ、さらにこれからの日本に必要なメディカルヨガの開拓に励んでいきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。

Yoga as Medicine は現在、原稿段階での最終のチェックに入っております。このあと試印刷版のチェックなどまだまだ作業が残されていますが、2010年内に発行できるよう頑張っておりますので、もうしばらくお待ちいただけるようですと幸いです。
2010.08.14 Saturday 16:04 | 統合医療にかける期待 | - | -

アメリカの補完医療にかける予算

National Center for Complementary and Alternative Medicine の年間予算。
2億円から始まったプロジェクトも今や約125億円規模。
17年間で63倍に伸びています。

FY 2009: $125.5 million 
FY 2008: $121.5 million 
FY 2007: $121.6 million 
FY 2006: $122.7 million 
FY 2005: $123.1 million 
FY 2004: $117.7 million 
FY 2003: $114.1 million 
FY 2002: $104.6 million 
FY 2001: $89.2 million 
FY 2000: $68.7 million 
FY 1999: $50.0 million 

Office of Alternative Medicine だった時代

FY 1998: $19.5 million 
FY 1997: $12.0 million 
FY 1996: $7.7 million 
FY 1995: $5.4 million 
FY 1994: $3.4 million 
FY 1993: $2.0 million 
FY 1992: $2.0 million
2009.07.05 Sunday 18:42 | 統合医療にかける期待 | comments(0) | trackbacks(0)

ヨガを切り口に様々な研究

全部を載せきれませんが、シンポジウムでは非常に有意義な研究を聞いてきました。

「若手音楽家の演奏前の不安とストレスにヨガが与える影響」
「服役中のヨガが、再犯防止に役立つか」
「子供の暴力を減らすのに有効なヨガ」
「青年期の精神障害の症状を軽減するヨガ」(イスラエル)
「都会の子供たちの交感神経を抑えるヨガ」 
「過食症の原因に働きかけるヨガ」
「お年寄りの転倒の不安を軽減するヨガ」
「お年寄りを寝たきりから回復させるヨガ」
「鬱からの回復を助けるリストラティブ・ヨガ」

その他、世界のヨガセラピーに関する最新研究についてのお問い合わせは
まで
2009.03.15 Sunday 12:12 | 統合医療にかける期待 | - | -

車いすでも、病床でも、ヨガは楽しめます

以前にも書きましたが、ヨガは「やってはいけない人がいない」めずらしい運動です。「ヨガをあきらめなくてはいけない人がいない」と言う点で、とても統合医療、補完療法に向いているのです。しかも、副作用もなく、コストもかかりません。

たいがいのスポーツには、制約がありますが(例えば、腰を痛めている人はバスケットができない、膝を痛めているとスキーは休まなくてはいけない、など)ヨガの場合、極端な言い方をすれば、息をすることさえできればヨガができるようになっています。
車いすの方でも、寝たきりの方でも、腕を骨折している方でも、工夫次第でヨガは楽しむことができます。今回のシンポジウムでは、Special Needs Yoga の提唱者である ビー・アミダウン先生にお会いすることができました。先生のDVDには、高齢者の方向けのヨガや、車いすで楽しめるヨガが紹介されています。
先生のウェブサイトはこちらです。

障害者の方がヨガを行なうにあたり、何がリスクファクターになり、何が、深いリラクゼーションをもたらしたり、身体に気持ちよさを与えるか、を分析し、提案していく、それがカスタム・メイドのヨガ・セラピーにできることです。

私が現在まとめているのが、末期がんの患者さんのためのプログラムです。
日本でもようやく、終末医療と緩和医療はどう違うか、といった議論がなされてきています。ホリスティックな考え方に基づく統合医療は、西洋医学とバッティングするものではありません。むしろ、医療の進化形だと考えます。その証拠に、北米の医学部では、博士課程の他に様々な補完、代替医療を学べるカリキュラムを常備しているところが増えてきています。

先生とのツーショットはこちら☆
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2009.03.15 Sunday 12:10 | 統合医療にかける期待 | - | -

ヨガ学んで薬いらず 介護予防狙い教室開講/鹿児島 湧水町

南日本新聞から記事を抜粋させていただきました。

鹿児島県湧水町は2008年、ヨガにしぼったユニークな介護予防教室を始めた。町内21カ所で延べ総数にすると年間180回の講座を開く。

「薬を使わずヨガを使って健康の町」を目指し医療費抑制にもつなげたい考えだ。  ヨガは呼吸や精神の統一をはかりながら行う一種の体操。2006年度、2地域で試験的にヨガ教室を開いたところ「高齢者の立ち座りや前屈などの基本的動作に明らかな向上が見られた」(町福祉課)ため、町内全域で踏み切った。  実施は町地域包括支援センターが、民間の在宅介護支援センターに委託。保健師や看護師らが講師となり、基本的に1地域で月2回ずつ4カ月間連続で開く。町が約400万円の予算を計上し、受講者負担はない。高齢者に限らず町民ならだれでも参加できるという。  4月はまず6地域で始まり、1回目は合わせて100人が会場に足を運んだ。26日に2回目の講座が開かれた老竹コミュニティーセンターでは、受講生12人が色とりどりのヨガマットの上でアロマの香りと心地よい音楽のなか、たっぷり1時間半ヨガにひたった。  講師が「ほら血行がよくなったでしょ」「疲れたときは足裏のこのツボを押して」と話しかけると、「足が軽くなった」と声が上がった。町地域包括支援センターの内村利美センター長は「体だけでなく気持ちもすっきりする。男性も含め参加者がどんどん増えてほしい」と話している。 

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こういう社会が理想です。
2009.01.11 Sunday 20:21 | 統合医療にかける期待 | - | -

アメリカで活発な統合医療の教育

薬や手術による西洋・近代医学とハーブ・アロマ・食事療法・マッサージ・音楽療法などの代替療法の両方を視野に入れて、患者さん中心の医療を実現しようという統合医療への取り組みが欧米で広がりつつあります。
この流れを受け、米国では多くの医学部で統合医療の教育が行われています。
統合医療のリーダーであるアリゾナ大学のアンドルー・ワイル博士が提唱する

統合医療プログラムの目的
1)現代医学の内側に統合医療モデルを構築することと、 
2)新しい医学教育モデルを構築して、他の医学校に提供すること
3)医師・薬剤師・看護師などに統合医療の理論と臨床を教育すること

ここでのポイントは、統合医療は決して西洋・近代医学を否定するものではないということです。薬害や副作用を恐れるあまり、薬を否定して食事療法や健康食品、気功や瞑想などの自然療法だけに頼るのは、ときとして非常に危険な状況を招きます。


2008.08.18 Monday 09:51 | 統合医療にかける期待 | - | -