ヨガを通じた生活改善:NHK 糖尿病 名医にQ

NHKの番組「名医にQ」で糖尿病の特集をやっていました。
「生活改善」の重要性も説かれていましたが、運動療法についてのアドバイスにいくつかのハードルを感じました。
  • やはり過体重により膝に負担がかかる方が多い→「走れない、歩けない」
  • 適度な運動を医師にアドバイスしてもらって下さい→「適度がわからない」
  • 低血糖、心臓発作のリスクと背中合わせ→「運動が怖い」
  • 足の潰瘍→「無理はしたくない」
欧米では糖尿病の治療に積極的にヨガが取り入れられています。というのも、糖尿病の大きな要因となる生活習慣の改善ストレス軽減、そして自律神経系の調律にヨガが果たす役割に注目が集まっているからです。

生活改善・適度な運動習慣というけれど

生活を改善しましょう、と言われてもどうしても言葉だけが上滑りをしています。退職等で生活環境ががらりと変わったり、外出する機会の減少、これまで慣れ親しんできた食習慣など、なかなか理想的な健康生活を実践できる人はいないと思います。これは若い人であっても同じだと思います。いかに規則正しく健康だと思える生活を実際に続けることが難しいことか。また、適度な運動を心がけましょう、と言われたところで、何をしたら適度なのか腑に落ちている人は少ないと思いますし、仮に頭で「これとこれを朝晩やればいい」と理解したとしても、実際の生活の中に落とし込めるほどのいわば「優等生」の方はきっと病気も快方に向かわれているのではないかと思います。悩みを抱えているのは「わかっちゃいるけど・・・」という方々かと思います。だいたい、若い人たちであっても朝晩規則的な運動ができていれば心も身体も元気になり、目を見張るほどの健康美が街のいたるところを闊歩しているはずです。ダイエット本、健康本がなぜこれほど売れるか・・・いかに涙ぐましいトライ&エラーを続けている人が多いかという証拠でしょう。

運動は、私自身の経験からも思いますが生活習慣に組み込むなんてことはよっぽどいつも頭の中に「運動しなくては」という意識がなければ、容易ではありません。むりやりフィットネスクラブに入会したり、習い事を始めたりしてせいぜい週に何回か運動したという達成感を味わっている方が多いのではないでしょうか。また、自分から参加するものでない限り、どうしても現代人にとっての運動は「義務でやっている」感覚に陥りがちです。本当に身体を動かすのが心から楽しいからといって動かしている人がどれだけいるでしょうか。施設や職場で参加を義務づけられている運動が待ち遠しくてしょうがない人は、もともと病気からも縁遠い方が多いような気がします。

運動を始めること自体が難しい

糖尿病の患者さんに限らず、お医者様から「適度な運動習慣を」と薦められている方は少なくないと思います。続かない多くの方は、やはり漠然とした運動に取り組もうとされている方が多いかと思います。何か切り口のわかりやすい運動の方が始めやすく続けやすいのは確かです。ただ、そのような運動のプログラムは病気を抱えていない人向けにつくられているため、先に述べたように「膝への負担」「心臓への負担」などのリスクの対処の仕方がわかりません。たとえば、ヨガも普通のクラスに参加したのでは、膝を痛め、腰を痛め、やはり自分には無理だ、という挫折感を味わうだけで終わってしまうかもしれません。走ったりウォーキングを始めようとしても、汗をかくぐらい歩けば相当の負担が膝にかかります。水泳もいいですが、水着を用意しプールまで脚を運び着替えをして冷たい水に身体を沈める、ということがいかに多くの心理的障壁を乗り越える行動か、ということです。楽しいのはもちろんバレーやフットサルのようなチームスポーツですが、迷惑をかけたらどうしよう、という気持ちが先立ちリラックスして参加できません。

シニア・ヨガから始めてみませんか:ヨガセラピーのすすめ

そこでお薦めしたいのが「シニアヨガ」なのです。着替えもいらず、用意するものは呼吸をするための鼻と口だけなので、手軽です。シニア、というと対象を高齢者の方に絞っているような聞こえがするかもしれませんが、決してそうではありません。自分の病状にあわせたレベルで楽しめるようにプログラムできるのがシニアヨガなのです。
膝や腰が痛い方には膝や腰に負担がかからないように。眼の症状が現れている方には、眼圧がかからないように。椅子を使ったりポーズを簡略化させたりしながら、そしてヨガのエッセンスであるゆっくりとした深い呼吸を組み込みながら、数十分取り組んでみたあとに「気持ちがよかったから明日もやりたい」と思える運動でなければ、どんなに病気のためとはいえ続くはずがありません。毎日決まった時間に脚あげ運動をしなさい、と言われたって、人間毎日やる理由などないのです。そして、このように「見えやすく入りやすい切り口」で「気持ちがいいと思える」ヨガの魅力を伝えていくのがシニアヨガを教えるインストラクターさんたちなのです。

ヨガでは練習前に食事をしないことをすすめますが、糖尿病改善のためのヨガ・セラピーでは水分や糖分を適宜軽く補給するほうがいいのです。ヨガでは裸足が薦められますが、ヨガセラピーでは脚を潰瘍から守るために靴や靴下をはいた方がいいのです。ヨガでは自分の身体の声を聞いて、無理をしないで、などと言いますが、そんなことを言われても周りの人がポーズを華麗に決めていたら人間休めるほど勇気はありません。ヨガセラピーでは無理をしないですむためのちゃんとした休む手段が(例えば椅子など)、そして休んでいいんだという周囲の理解が具体的に用意されている必要があるのです。そういうものを伴って、という前提はありますがこれまで「適度な運動習慣を」とアドバイスされ、戸惑っていた方々に心から生活に取り入れたいと思えるような運動習慣としてのヨガが根付いていくのだと思います。

実際にヨガで糖尿病の症状を緩和していった事例などは2010年夏に刊行予定の「ヨガアズメディスン(Yoga as Medicine) 」日本語訳版に紹介されています。

人生を幸せと思えることが何よりの薬

ヨガは直接糖尿病に働きかけるわけではありません。しかし、糖尿病治療で重きを置かれている「生活習慣の改善」に具体的に効果を発揮できる要素に満ちています。深い呼吸、無理のないポーズ(ハードなヨガにのぞまれるのはお薦めしません)、リラクゼーション、気持ちよかったという感覚の記憶、など、またメンタルヘルス面での改善など、これまでただの唱え言葉だった「生活改善」を確かな手応えを持って実感できる可能性を秘めています。実際その効果が臨床をも通じて広がり、海外では副作用のない新しい治療法としての活用が始まっているぐらいです。

日本でも糖尿病に悩む人々が実感のある生活改善に取り組める環境づくりを急がなくてはと思い、これからも、一人でも多くのシニアヨガの指導者を養成していきたいと思います。

ところで、番組の最後でお医者様がとても興味深いことをおっしゃっていました。
「笑うとか幸せだと思う気持ちが、糖代謝をアップさせる」
それならば、やっぱりヨガはおすすめです。ヨガを始めた方の多くが「気分が良くなり、前ほど不安も感じなくなり、自己コントロールができるようになった」とおっしゃっています。いつもの毎日が、身体を動かしているうちに、なんだか理屈はともかくも、笑いたい、感謝したい、楽しみたい、という日々に変わっていくのですから。

JUGEMテーマ:糖尿病
2010.04.11 Sunday 09:20 | ヨガとメタボリック | - | -

ヨガとメタボリック:肩甲骨が決めて

メタボ対策に、ジョギングやウォーキングが推奨されているにもかかわらず、「肩甲骨」の動かし方がうまくいかないと、ジョギングもウォーキングもすぐつらく感じられてしまい、数日しか続かないという結果に陥ってしまいます。
肩甲骨とは背中の左右にある、逆三角形の骨のことです。この周辺の筋肉は、他の部分の筋肉と異なり、細かい深部の筋肉で支えられ、こりを感じるセンサーとなる靭帯や腱がないので、凝り固まって動きが悪くなっても自覚症状がでるのに時間がかかります。そのため、いつの間にか凝っている、という感覚が起こりやすいのです。また、デスクワークや車の運転の多い現代生活では腕を前に出す姿勢に偏りやすいのです。

この肩甲骨がスムースに動かないことが、歩いたり走ったりするときのフォームの崩れにつながりやすく、競技に限らず日常生活でも不具合を感じたりすることさえあります。

では、どのようにしたら肩甲骨をほぐし滑らかな動きを取り戻すことができるのでしょうか。まず、歩いたり走ったりするときの意識として腕を前に降り出すのではなく、後ろに引くように意識するといいでしょう。これは肩甲骨だけではなく、骨盤にもいい影響を与えるので、自然とフォーム全体が美しくなる効果があります。

一方で、Yoga Fit ® のウォーミングアップ・メニューである ムーン・フラワーという動きは、肩甲骨を引き寄せる動きと、脚のスクワットと呼吸を連動させた手軽なエクササイズです。脚を四股を踏む歩幅に開き、背筋を伸ばし、息を吸いながら手のひらを正面を向け 両腕をまっすぐに挙げます。息を吐きながら腰を垂直に下ろし(スクワット)一方ひじをゆっくり曲げながら下ろし、肩甲骨を中央に寄せていくことを意識します。気をつけるのは、腕を身体の真横の位置で動かすこと。肘が前に来てしまうと肩甲骨が動かないばかりか、胸も狭まってしまいます。胸を開くこと、肘を後ろに下げることで肩甲骨周辺の筋肉がよくほぐれます。また、スクワットのときは腰は真すぐ下に下ろします。深く沈み込む必要はありません。お尻が後ろに突き出ないぐらいのところまでで十分です。

このムーンフラワーを少しやってから歩いたり走ったりすると、肩甲骨が動きやすく、また下肢も軽くなっていることを感じられるでしょう。ランナー、ウォーカーだけでなく、自転車にもいい運動です。肩こりに密接に関わる肩甲骨ですが、むしろうまく動かすことを覚えてしまえば、快適な毎日が始まります。
Read More...
2008.09.30 Tuesday 08:54 | ヨガとメタボリック | - | trackbacks(0)

お腹が出てくると、腰が反る、するとどうなる?

 肥満になると、まずお腹が前方に出てきます。すると、腰は必然的に反り気味になります。始めは前の方に突き出ようとするお腹を背筋群が後ろに引っ張ってお腹の突き出しを抑えようとしますが、背筋群が疲れてくると、後ろに引っ張る力がゆるみ、お腹の出っ張りは徐々におおきくなります(あぁぁぁぁ・・)

では、なぜお腹が出て腰が反り気味になると腰痛が起こるのでしょうか。それは、腰椎間の隙間が関係しています。お腹側の隙間は大きくなりますが、背中側の隙間は狭くなります。腰椎のお腹側に比べて、背中側には知覚神経が多く分布しています。そのため、腰椎自体の骨や、これらを伝える靭帯、脊柱規律筋にある多くの知覚神経が刺激されて腰部に痛みが生じるようになります。

お腹、出っ張ったら、ひっこめなくては。

2008.09.29 Monday 16:29 | ヨガとメタボリック | - | -