実は、妊娠6ヶ月の頃、いろんなことが制約されていく中でのマタニティブルーで、えーい、家出してやる!という気持ちになったことを告白します。
ずっと勉強に行きたかったのに妊娠していけなくなってしまっていた ボストンにいるBo先生のところで勉強しようと、大きいおなかに汗をかきかき、一人(二人?)太平洋をわたったのでした。
Bo先生の授業はある会議で拝聴したのがきっかけで、とても難しいのにわかりやすく、明るい先生のお人柄に惹かれてのことでした。ついでに、ハーバード大学とMITにも寄って、(せめておなかの子が)戻って来れますようにと、ハーバードさんの銅像の靴もなでなでしてきたのでした。(靴をなでなですると戻って来れるというジンクスがあるのです)
そのBo先生が、私の勉強している分野であるヨガセラピーに関する本を出版しました。さっそく、買って航一がお昼寝中に読んでみました。引っ越しを機に書籍を断捨離し、電子化したので、iPadにKindleを入れて購入してみました!これでいつでも参照できます。Amazonにもレビューを書きました。当時のテキストやノートも電子化してiPadに入っているので、この夏は再びじっくり学び直そうと思います。
Amazon のレビュー(投稿してみました)より
ヨガでは断ち切れなくて堂々巡りになっている行動パターンを「サンスカーラ」と呼びます。臨床心理学博士であるBo先生は、精神の病がどうやって私たちに住みつき、悪化していくのかをサンスカーラと自律神経系、神経可塑性( Neuroplasticity ) 逃走逃避反応などを用いて説明しています。そして従来型の真理セラピーではあまり使われることがなかった身体を用いたアプローチ、具体的にはリストラティブヨガのポーズや簡単な呼吸法をどのように処方していくのかについて述べています。
パタビジョイス氏やクリスナマチャリヤ氏など偉大なるヨガの指導者が共通して説いている真実「ヨガの価値はそれを実際に行ってみることにある」に彼女も重きを置いています。
欧米で補完代替療法として急速に広がりつつあるヨガセラピーの分野ですが、ヨガは一発で治す薬ではなく、時間をかけてゆっくりと行動パターンを修正しながら命に対して前向きな気持ちを育む治療法と言えるでしょう。精神を病んだ患者さんたちにとって、時に言葉のセラピーは重圧になることがあります。Bo先生は誤解を恐れず、患者さんの中には言葉はいらない人もいる、と言っています。言葉ではなく、身体を使って自律神経のバランスを取り戻していくのです。
身体を使うといっても、先生が提唱するポーズはどれも簡単なものばかりで、呼吸法だけの処方すらあります。「(療法として活用していくには)ヨガはもっとわかりやすくてよい」という指摘にはヨガセラピーを学び教えている私も心から賛同します。先生はヨガは身体を使った禅であるとも言っています。ヨガというと、健康な身体を得るためにするものというイメージがあるかもしれませんが、パタンジャリのヨガスートラでも述べられているように、ヨガが求めているのは心の状態を自由にすることなのです。ヨガの練習は心と身体の安定のために行うものなのです。
臨床心理学者として膨大な知識に裏付けられた力強い内容とはうらはらに、先生は多くの患者さんたちと向き合いながらこの本をとても優しい気持ちで著されたことが文面からも伝わってきます。私もかつてボストンにいる先生のところに学びにいきましたが、本当にお優しいお人柄がこのように実用的な書籍としてかたちになったことはとても嬉しいです。